7月9日夜8時キックオフ。
私たちは、近所にあるサッカースタジアムの芝生で、
フランス人に紛れて大スクリーンでワールドカップ決勝を観戦していた。
事前に「シャンゼリゼ通りへ行きます!」と宣言していたけど、
ことあるごとに色んな人から「やめとけ~!」と言われ、
シャンゼリゼ通りでケガしなくても、帰りのメトロがすごいことになるから
本当にやめておいたほうがいいよとフランス人にさえ言われたので、
結局シャンゼリゼへ行くのはとりやめ、
前に話したサッカースタジアムParc des Princesへ行くことに。
試合直前にスタジアムまで歩いていったら、既に人数制限をしていてゲートは閉まっていた。
ええぇぇ、入れないんだったら家のテレビで見てればよかったー!
と思っていたら、その目の前にもう一つ少し小さめのサッカー場があり、
そこのゲートが開いた!一斉に走っていって、なんとか中へ。
そしたら、人・人・人だらけ~。
フランスの国旗を振り回している人、顔に赤・青・白でペイントしている人。
しかも驚くことに、みんなちゃんと芝生の上で座って観戦。
サッカー場だから、みんな立って押せや押せやで観るのかと思ってた、ワタシ。
大スクリーンと言っても、そんなに大きなものでもなかったけど、
皆必死にスクリーンをみつめながら応援。
Allez les bleus !!! Allez les bleaus !!
フランスのサッカーチームは、そのユニフォームの色から「Les bleaus」(日本語で言ったら「青たち」みたいな感じ?)とフランスでは呼ばれている。
なので応援の掛け声も" Allez les bleus !" (青、行け~!)。
みんなの声がサッカー場全体に響き渡る。
そして彼らのヒーローはやはり「
Zizou Zidan (ズィーズゥージダン;フランスでのアダナ)」。フランス語の先生からも聞いていたが、フランスで
どの年代にも好かれている国民的人物と言ったら、このジダン以外にいないという。
彼がボールを持つたびに大歓声と拍手が沸く。
そしてイタリア人選手がファウルの「演技」をするたびに、みんなで大ブーイング。
ハーフタイムになり、皆が一斉に立ち上がるとある曲が流れ始めた。
耳を傾けると、それは" I will survive ! ". フランス人が皆、大合唱♪
これには笑った。でもみんなお祭り気分で楽しかったよ。
後半の試合も終わり、延長戦の終わりに差し掛かった時に事件は発生。
あのジダンの「頭突き」。
最初にレッドカードが出た時には、皆何が起こったのかわからず大ブーイング。
でもリプレイで、ジダンの頭突きシーンが出た時には、
何故かフランス人は大拍手!。
「イタこうに、よくぞやった!」という拍手だったのだろうか.....。
キックオフがはじまり、皆今度は立ちながらの観戦。
そして最後のゴールが決められたら、皆一斉にゲートのほうへ向かい即退場。
あまりのあっけなさ&潔さにJ-kunと一緒に驚いてしまった。
え?もっとこうなんかないの?悔し泣きとかなんか。
でも皆そそくさと帰る姿を見て、「なんだ、そんなもんか。」と。
しかし次の日、やはり皆気落ちしているのがひしひしと感じられる。
スーパーでの話題もワールドカップ。近所の乾物屋のおじさんの第一声も
「ワールドカップ観た?」。J-kunが会社から電話してきて、オフィスでもみんな気落ちして休む人までいたとか。やっぱり、みんな悔しかったんだね。
では
ジダンのあの事件の真相はなんなのか?
フランスでの新聞ではこう伝えられている。
ジダンはアラブ系のフランス人。
そして、お母さんをこよなく愛し、
今まで色んなインスピレーションを彼女からもらっていることも有名。
そのジダンに対して、(結果として頭突きされた)イタリア人選手が
「このアラブ人のテロリストめ」
という言葉と同時に、彼のお母さんを侮辱するような言葉をはいたとか。
それに怒ったジダンが、得意の頭突きで攻撃!
この話が本当かどうかは知らないけど、たとえこれが本当だったとしても
やはり彼にはその言葉に惑わされてほしくなかったよね。
フランス人も皆、こういうかたちでジダンがサッカーキャリアに終止符をうったことが
残念でならないと口を揃えて言っているようです。
それにしてもさ、サッカーではこうやってTrash Talkして
相手を威嚇することなんてザラなんだってね。
でも、英語があまりわからないアジア選手にとっては、無意味なことだけどね。
「えっ?なんですか?」とか聞き返しちゃったりして。